アウトバーンって名前くらいはご存知ですよね。ドイツの無料で制限時速なしの高速道路です。時々工事中の区域で車線規制と80km/h（くらいの）制限がある以外は、ほとんどが片側３車線でしかもとばし放題。私も初めての海外旅行であったドイツ旅行で、215km/hをマークいたしました。

　ドイツは右側通行なので、３車線のうち一番左が速い車、右が遅い車です。私の約１週間の旅における経験では、速い車線が190km/h以上、遅い車線でも140km/h前後ではなかったかと思います。190km/hって言いますと、日本では大抵の車はリミッタがかかるので出せません。また、パワーのない車ではそもそもちょっとでも道が登りだったりすると、アクセルいっぱい踏んだってなかなか出るスピードじゃあないです。

　別に私はスピード狂じゃないと思うんですけど、面白いもので一旦190km/hで走ってしまうと、160km/hがすごく遅く感じるんですよね。日本国内でも高速で一旦120km/hくらいで走ったら、80km/hなんて遅くて耐えられなくなりませんか？　それと同じです。そんなわけで、この日は当時マンハイムに住んでいた友人とハイデルベルグ城を見に行った後、友人と別れて温泉で有名なリゾート地であるバーデン・バーデンに向かうべく、調子こいて一番速い車線を走ってました。

　車種は、確かRenaultのLagunaという名前の2000ccの車だったと記憶してるんですが、いわゆるファミリーカーっぽい感じで特別速い車でもなかったんですよね。ですから、意識的に速く走ろうとしてアクセルを踏み込んでるときは190km/hで走ってるんですが、アクセルだって踏み込んでれば多少足は疲れますから、気を抜くと170km/hにはなってしまいます。そんなこんなで気を抜いてた正にそのときでした。

怖すぎます。

 

初めての海外旅行。

相手はドイツ人。

当時の英語力は並以下。

ドイツ語力ゼロ．．．

 

　でも、諦めるしかないですよね。日本の高速でも見かける、お店とかがなくて車を止めるだけのパーキングエリアに車を移動しました。当然、ドイツ人も一緒に来ます。私は頭の中で、謝るときの英語を何度も繰り返し練習しました。

 

ア、アイムソーリー．アイドントシンクディスタービングユー．．．

 

　そして、車を降りました。ドイツ人、身長が180cmは軽くあります。やっぱり怖いです。怖いですけど、練習通りにたどたどしい英語で「別に邪魔するつもりはなかったんだ」ということを懸命に伝えようとしました。しかし、

ノー、ノー

とドイツ人は聞き入れてくれません。私は尚も懸命に（何を言ったかなんて覚えちゃいませんが）謝りました。

　しかし．．．ドイツ人、何やら私の車を指差して言ってます。表情も怒ってるって感じじゃなく、何かを伝えようとしているようです。

　ふと冷静になった私は、ようやく彼が英語で私に何か言ってることに気づきました。

 

ドイツ人（ド）：「お前の車からオイルが漏れている！」

 

 

へ？

 

　よく見ると、確かに車のガソリン注入口の横にオイルが付着してます。良く話を聞いてみると、

ド：「お前はオイルをこぼしながら走っていたぞ。」

だそうです。そして私、気づきました。

ガソリンのキャップ、閉めるの忘れた．．．

　日本はまだ滅多に見かけませんけど、大抵の国ではガソリンはセルフサービスです。初めての海外旅行で、慣れないセルフサービスに四苦八苦していた私は、うっかりキャップを閉め忘れ、ガソリンスタンドに置いてきてしまったのです。そして、そのガソリンスタンドは遥かかなた、とても戻れるところではありませんでした。

　途方に暮れた私、今度は感謝の英語を頭の中で何度も練習し、そして尋ねました。

　私：「ガソリンのキャップ、どこで買えますか？」

　ド：「ここからならカールスルーエは大きな街だから、そこのガソリンスタンドの売店で売ってるよ。」

　ガソリンスタンドの売店でそんなもん売ってるのか？と思いましたけど、ともかく、そんなこんなで怒れるドイツ人に命を奪われることはなく、私はカールスルーエに向かったのでした。

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Ａ1. アウトバーンじゃ逃げ切れません。よっぽどやばいことをしたと思い当たるフシがなければ、諦めましょう。いいことがあるかも知れません。