ええ、そうです。

カツアゲされました。

　ところは引き続きメキシコの首都、メキシコシティー。前作で、道に迷うも月光仮面がごとく（世代が．．．）疾風のように現れて疾風のように怪しいメキシコ人と去っていった親切な日本人に道を教えてもらい、いざ今回のメキシコ旅行最初の観光である国立人類学博物館目指して歩き始めたのです。

．．．そうしてしばらく歩いていると、

さっきの怪しいメキシコ人（メ）：「ハロー！」

　最初は結構ビックリしました。なんせ、順風満帆に博物館目指して歩いてるはずでしたから。

　ところがそのメキシコ人、私の横にピッタリついてきて、なんかいろいろ言ってきます。とにかくうざいし気持ち悪いしで、私は「ノーサンキュー」とか「大丈夫だから」とか言って追い払おうとしたんですが、

メ：「博物館を探してるのか？　それはあっちだ。」
私の心の声（心）：「知ってるよ」


メ：「どこから来たの？」
心：「どこだっていいじゃん。」


メ：「英語話せるの？」
心：「あんたよりはね。」


メ：「俺、●●（名前）。俺、ナイスガイ。」

心：「どこがやねん！」

・
・
・

などと、ごちゃごちゃ言ってます。

　なにせうざいので適当に相槌を打ちながら一目散に歩いておりました。すると突然、

メ：「１ペソ！」

心：「きたきたぁ〜」

　「は？」と言いつつも内心、「うわー、来ちまったよ〜(;_;)」と思いながら、適当に「ノー、ノー」と言ってあしらおうとしました。しかし、執拗にくっついて来て「マネー、マネー」と言って離れません。

　それでも無視して歩いていると、

ガンたれまくり〜
(▼▼メ)

と来ました。ただね、これがあんまり怖くないんですよ。相手は小柄なメキシコ人。必死に表情で脅してきますけど、これが正直怖くない。

　ですが、ここで出し渋ると次は刃物とかを出してきたりするかもしれません。ここいらが潮時かと思い、諦めて「１ペソ」渡すことにしました。だって、

１ペソ≒０．１ドル≒約１３円
（２００２年２月現在）

ですから（笑）。

　というわけで財布を取り出したんですけど、まだ旅行が始まったばかりなのに、メキシコのコインって１、２、５ペソは大きさが違うだけで見た目はほとんど同じなので手間取ります。

　そして最初に掴んだのが５ペソ。

５ペソ（約６５円）に悩む俺

結論、高すぎ！．．．さらに探します。

あった！

私：「はい、１ペソ。」

・・・これにて一件落着、さぁてメキシコ旅行記のネタになるなー．．．などとはそのときはとても考える余裕などありませんでしたが、冷静になってみると結構安いわけですからＯＫというところなわけです。

しかし！

メキシコ人

受け取らず！

　自分で「１ペソ」と言っておきながら、受け取らないんですよ。何やら「違う、違う！」と言ってきます。どうやら少ないということらしいんですが、

心：「５ペソでさえ、テメエには多すぎるんだよ！」

思っている私に、それ以上何ができましょうか．．．

　しかし、埒があきません。どうやら今度は１０ペソ（約１３０円）を要求しているようです。で、運悪く１０ペソはなかった（１０ペソはちょうど日本の５００円玉みたいに存在感があるので、無いことはすぐ分かる）ので、

仕方なく「２０ペソ札」を探すことに．．．

そのときです。

あっ！

お札、

全部ひったくられた！

　そのときは私もとっさの反応でしたね。怖いとか考えないで、「ノー、ノー」と言って相手の手を掴み、取り返そうとしましたよ。そして札をしまったポケットに手をねじ込み、

中の札を鷲づかみ！

　相手も当然札を握ってるわけで、さすがに取り返せません。しかし、数枚がうまく私に有利なポジションにあったので、相手も完全には主導権が握れない状態。

怪しいメキシコ人との
微妙な均衡状態．．．

　そして、ついに相手も観念しました。大方のお札は相手が握っており、マトモに引っ張り合いになれば相手に有利だったのですが、そこで彼は私の掴んでいるお札がどれであるかを確認し、自分から返してきたのです。

お慈悲とでもいわんばかりに。

　はっきり言って内心はかなり腹が立ちましたね。恐怖心より怒りが勝ってました。この時点ではいくら取られたか正確にはわからなかったのですが、メキシコに来て１００ドル（約１３０００円）を両替し、タクシー代とチップを払った以外は使ってなかった有り金を全部取られ、しかも返すときに

何故に慈悲？

　しかし、このようなシチュエーションではお金より安全が大事です。どんな感情にもまして安全が優先します。そして、幸い私の分別は怒りをコントロールすることが出来たようです。

　結局、この微妙な交渉によって私は３００ペソ（約３９００円）を取り返すことに成功しました。

よくやった！　感動した！＜自画自賛

　そして、後で冷静に計算してみると、盗られたのは４００ペソ（約５２００円）でした。

でも、アイツの方が１００ペソ多い．．．

　この後、さすがに無口になりましたね。とにかく、腹が立つわ、どうすりゃ良かったんだと反省するも答えが見つからないわで、人類学博物館に着くまでほとんど無言でした。

　正直、人類学博物館見学中も、その後２〜３日も、考えることと言えばコノコト。

＜森イチローの考察＞ 　皆さんにもいろいろご意見はおありでしょう。「完全無視・相槌さえいけない」というのがもっともらしい方法なのですが、この場合これと見つけた相手に完璧に付きまとって、最後に脅しをかけられれば結局同じこと。 　そして数日考え抜いたんですが、今回の相手のパターンはこう分析されます。実は、彼があのタイミングでお金を請求したのには理由がありました。あと１００ｍほど行くと、公園内にある動物園の入り口があり、人が沢山いるのです。メキシコシティは基本的には比較的治安のいいところ。つまり大抵の人間は犯罪者ではありません※。ですから、そんな人の多いところではいくらなんでもおおっぴらにカツアゲはできないんです。　＜※：後に気づく。最初はみんな犯罪者に見えた。＞ 　但しスリは事情が異なるようです。電車の中で数名のグループが一人を取り囲むスリがあるらしいんですが、これはグループなので乗客も怖いから見てみぬ振りをするそうです。

　まぁ、その日の夜、英語の通じるレストランで隣のテーブルには英語を話す男性二人組だったときには、心から

( ´o｀)п＜＜ホッ

として、ようやく立ち直りましたけどね。

・・・とまぁ以上が、メキシコ旅行初日の出来事の顛末なのであります。

とにかく、「予防」が肝心！

　万一トラブルに巻き込まれたら、普段の冷静なときに予想し得る以上に感情的になります。そういうときは安全第一。いかなる感情も一旦は理性で抑えましょう。

　勿論、きれいなお姉ちゃんに逆ナンパされても、感情を抑えること！　そんな都合のいい話はありません。絶対裏に何かあります。