あの愛くるしいＭＭ（♀）がマフィアの裏ボス．．．しかし、目の前の紳士の真剣さを見ると、どうやら冗談でもないらしい。しかしこれはあくまでドナルドの帽子から出てきた話に過ぎない。証拠としては不十分だと私は感じた。

　私：　確かにすごい話です。でも、ドナルドの帽子とこれとどういう関係があるのか、正直言って私にはまだしっくりときません。

　紳：　あなたは相変わらず気が早い。私の話を待ちなさい。

　こうして、ディズニーのほとんどのキャラクターは有無を言わさずファミリーに入りました。すると、当然ですがキャラクターを使うウォルト・ディズニー社としても、ファミリーの発言力を無視できなくなります。ファミリーとて、ここで対立するつもりなどないわけですから表向きは極めて協力的な関係ではありますが、ファミリーは大きな権力をも手中に収めたというわけです。

　ファミリーがまず手始めに行ったのは、その収入源のうち大きな比率を占めるキャラクターグッズの販売を支配することでした。当然ながら、ファミリーのメンバー以外のグッズが売れることは、ファミリーにとっては意味がありません。

　そう考えると、まずファミリーが人気あるドナルドさんのグッズ、特にディズニーランド内をそれをかぶるお客が大勢いるドナルドの帽子を無くそうと試みたと考えるのは想像に難くないのではありませんか？　実際、帽子だけでなく多くのドナルドさんのキャラクターグッズが店頭の最も目立つ位置から追い出されてしまったのです．．．（グエッグエッ）

　私：　なるほど。しかし、私がここ（Disney World）で感じたのは単にドナルドのグッズがないというだけではありませんでした。何故か、くまのプーさんのグッズが目立つ気がしたんです。プーさんの帽子もやたら多かったように思いますし。でも、プーさんってそもそも元はディズニーのキャラクターじゃありませんでしたよねぇ。

　紳：　するどい指摘ですね。しかし、その話は直接お教えするのはあまり危険ですので、私の話を続けさせて下さい。

　ファミリーが行ったのはファミリー以外のグッズに対してだけではありません。ファミリーのメンバーの中でも、急激に人気が高まることはＭＭ（♂）の支配力に影響を与えます。ですから、その点も彼らは巧妙に操っているのです。

　いくらなんでも、グッズショップでどこもかしこもＭＭ（♂）やＭＭ（♀）のグッズだけを飾るわけには行きません。それではディズニー全体としての人気の低下を招いてしまい、彼らにとっては反ってファミリーの力を低下させることになりますからね。そこで当初はやはりファミリーの中でも比較的人気があり、自分達が意のままにしやすいペットの犬のＰや友達の犬のＧをかわるがわる目立たせました。しかし、元々彼らはＭＭ（♂）やＭＭ（♀）の脇役みたいなものですから、結局ＭＭ（♂）やＭＭ（♀）だけが目立ってしまい、あまり効果がありませんでした。

　そんな折、彼らが目を付けたのは、新しいキャラクター達です。ディズニーの中には映画でいきなり主役に抜擢されて一躍有名になるキャラクター達がいます。が、歴史あるディズニーのキャラクターと比較すると人気は短期間で終わることも多いですから好都合でした。特に、元々ディズニーでなく童話の主人公であるお姫様達や、そこに出てくる悪役達は、ファミリーにとってはそれほど人気が爆発する心配はなく、それでも十分花になる非常に好都合なキャラクターだったわけです。

　私：　そういうキャラクター達もファミリーのメンバーだったんですか？

　紳：　いや、さすがに特に有名どころのキャラクターはファミリーのメンバーではありません。はっきり名前を挙げて差し支えないところを言えば、シンデレラや白雪姫などはファミリーではありませんでした。

　しかし、その辺りが特にファミリーが巧妙だったところなのです。これらのキャラクターを、ファミリーは単独ではグッズにしませんでした。彼らはプリンセスグッズだとか悪役グッズだとかいう形でそれら全てをセットにし、その中に数名のファミリーのメンバーを混ぜておいたのです。

　私：　あ、そう言えば確かにそういうのがありました！　王子様ってのもあったと思いますよ。

　紳：　（得意げに）でしょう。正に全てがファミリーの意のままというわけです。

　そしてさらに、最近では新しい人気キャラクターとして、ボーっとして操りやすそうなくまのＰさん（仮名）に目を付けました。くまのＰさん（仮名）は元々十分に知名度の高いキャラクターでしたが、それまではディズニーの中ではどうしても肩身の狭い思いをせざるを得なかったのです。そこに目を付けたＭＭ（♂）がうまいことを言ってファミリーに引き入れたというわけですね。

　私：　それってもしや・・・

　紳：　（私の言葉をさえぎるように）グワッ、グワッ！　とにかく話はまだあります。私は偶然ＭＭ（♂）とＭＭ（♀）がこんなことを言ってたのを聞いたことがあるんです。

　その紳士の耳にしたＭＭ（♂）とＭＭ（♀）の会話を聞いたとき、私の中で謎が一つ解けました。

その会話とは．．．

くまのＰさん（仮名）には
ハチミツでもあげときゃ満足でしょ。

（開いた両手を口に添えて可愛らしく）
アハハハッ！
（しかし邪笑）

＜Part. 5に続く＞