アメリカでもちろん買い物をしますけど、店は日本と似たようなもんです。ま、アメリカの方が何につけても大きいってことはありますけど、だいたい同じ。コンビニもあります。ダイクマみたいなのもあります。

＜豆知識：Walmartは世界最大の小売業店で１９９９年の収益データをもとにしたFortune誌のアメリカ企業ランキングでGeneral Motors社に次いで２位＞

　ところが、あのマニュアルばっちりマクドナルドもアメリカ人にかかれば、スマイル０円どころじゃ済まないんです。

　まだアメリカに引っ越して間もない頃でした。レストランで一人で食事をするにはあまりに量が多いため、レストランは敬遠してアメリカの軽食を食べ歩いていたのですが、それにも飽き始めたため、一度アメリカのマクドナルドに行ってみるか、と考えました。

　本場ですから、探すのは大して難しくもありません。ダウンタウンのマクドナルドを発見し、そこに行きました。店構えは日本と大差なし。何となく安心感さえ覚えます。そしてカウンターへ向かうと、そこには黒人の若い女性が二人いました。

　当然そこで期待するのは

「いらっしゃいませー！　何になさいますか(withスマイル)」

ですよねー。私も何度、可愛い店員のいるマクドナルドに、スマイル欲しさに通ったことか．．．

　ところが．．．ちょっと太目の女性が、痩せてる女性に何か文句を言ってます。とても、それどころではないようです。そして、カウンターへ向かってくる私に、太目の女性はぶっきらぼうにこう言いました。

"May SHE help you?"

(彼女＝痩せてる女性がいかがいたしますからってこと)

　普通はもちろん"May I help you? (with smile)"でしょ！？　これには私、とってもビビリました。だいたい、どっちに注文すればいいんでしょう？

　痩せてる女性の方は一向に仕事をやる気はないようです。太ってる方もやる気なし。「これってどうすればいいの？」状態です。とりあえず、メニューも日本と違うので、場を繋ぐようにゆっくり選んでました。すると、太ってる方が、

"What do you want?"
(何が欲しいのよ)

とさらにぶっきらぼうに。これが接客業か？？？　しかし、まだ渡米間もない頃でそれでなくてもキンチョーしているというのに、ここで、

"I want your smile, baby."

なんてウィットの効いたジョークを返せるわけもありません。メニューにスマイル０ドルなんてのも無かったし．．．

　結局、手元にあったコンボ(アメリカではセットメニューのことをComboということが多い)のビックマックが目に入ったのでそれを頼みました。何でビックマックかって言うと、日本と同じ奴なのですぐに分かったからです。それでなくてもレストランは量が多いからやめてるのに、ビックマックが食べたいわけがありません。

　そして、ドリンクを聞かれました。日本じゃあ絶対にコーラなんて飲まないんですが、日本と同じものってそれしか目に入らないんで結局コーラ。ポテトも当然つきます。そしてなんと、アメリカのマクドナルドのドリンクにはＳサイズがなくて、

Ｍ、Ｌ、ＬＬ

なんです。

「だったらずらしてＳからにすりゃあいいじゃん」

って思うところだけど、だってとても「Ｓ」とはいえない大きさなんですよ、「Ｍ」は。もう食べられないよう．．．

　注文が終わってほっと一息と思いきや、さらに、ぶっきらぼうに、"??????"．．．何か言ってます。

　聞き返すと、さらにぶっきらぼうはパワーアップ！！！　"??????"．．．ホンの一言二言なんですが全然わかりません。すっごく怖かったんですけど、もう一回聞き返しました。すると、今度は両手を挙げて、さも、「もうあなたには付き合ってられないわ」といった感じで、

"Do you wanna eat here?"

と言ってくれた（何で「くれた」なんだろう？）ので、"Take out"と一言返しました(もうそれでいっぱいいっぱい)。

　でもね、冷静に考えれば、

「こっちは客や！

何でワレにそんな態度とられなアカンねん、

ボケェエエ!!!」

　後で知ったんですけど、アメリカじゃどこでもテイクアウトを聞くときは、

"（For） Here, to go?"
(ここ、それとも持って行くの？)

って言うんですよ。ほんとちょろっと言うだけで分かってても未だに聞き取れないです。アメリカ人の友人によると「タイミングだねえ」と言ってます。それにしたって、あれだけマニュアルを逸脱した接客に加え、日本風の、

「お持ち帰りですか？(とってもスマイル)」

じゃなくて、雰囲気は、

「なんやねん、ワレ(とってもガンたれ)」

これって、「スマイル」ちゃうん．．．

恐るべし、マクドナルド。