いくらなんでも、慣れてくれば タクシーでそう毎度毎度トラブルが起きることもなくなりました。出張ともなれば空港からの足はタクシーですし、ホテルでタクシーが呼べないなんてことはさすがにありません。朝４時に予約しても大丈夫なんて奇跡的なこともあります。

　まぁ、朝早い夜明け前にちゃんと来てくれたんですから、空港に向かう道のりで、

ぐらっ

と車が揺れるのはご愛嬌・・・って、

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　勿論、アメリカでも大都市の中心部なら24時間タクシーは走ってます。その日も、朝イチの飛行機に乗るためにはホテルを５時に出ないといけなかったんですが、念のためホテルに予約の必要がないことを確認の上、予約はせずに朝を迎えました。

　今までの経験もありますから不安を感じなくもなかったんですけど、朝ロビーに下りると朝早いにもかかわらず既に多くの客がいて一安心。チェックアウトを済ませてホテルが面する大通りに出ると、ホテルの前には同じホテルの宿泊客と思しき数名がタクシー待ち。通りは車が沢山走ってるってわけじゃありませんが、ポツポツとタクシーもいて並んでた順番にタクシーを捕まえていきます。

　さて、自分の順番が近づいてきたときです。私の前に並んでいる客（たぶん日本人）が、同じく不安を感じたのか、自分の場所に荷物を置いてホテルにコンソルジュを呼びに行きました。どうも、タクシーを確実に捕まえる自信がなかったようです。その人と一緒にやってきたコンソルジュは私に

「お前はツレなのか？」

と聞いてきました。私は一緒でも良かったんですが、私の前の客が即座にNOと答えたんで、まぁ別々ってことになり、コンソルジュはさらに前の客が捕まえたタクシーの運転手に何やら話しかけました。そして、私の分と２台タクシーを頼んだと告げてコンソルジュはホテルに戻っていきました。

　１台目。後ろのトランクに前の客が乗り込んで行きます。そしてちょっと間が空いて２台目がするりとホテルの前に止まりました。ドアを開けてもらおうとちらっと運転席を覗くとトランクが空いたのでトランクに荷物を入れ、乗せてもらおうとすると何故か助手席のドアが開き、乗り込もうとしたところで・・・

後部シートに白人２名発見。

　もう、荷物は積んでしまいました。貴重品こそ持ってはいますが、そのまま走っていかれたらやっぱり困ります。何より半分乗ろうという動作の最中なわけで、まさに日本代表中田ヒデ並の判断スピードが求められる場面です。しかし私は後部座席の客すら見抜けない視野の狭さなわけで、当然ながらそのまま乗り込む羽目になったのでした。

正直、命の覚悟をしました。

　運転手は中東系。後部座席の白人のうち、左側は一応挙動はノーマルですがややテンション高め。

そして右側はテンションMAXで目がトロン。

クスリデスカ？
クスリデスカ？
クスリデスカ？

　後ろの白人はとても友好的。でもテンションMAX。会話と言えば、「お前はどっからきた？」だの「ここは楽しかったか？」だのとフツーの世間話。

ヤサシクシナイデ
ヤサシクシナイデ
ヤサシクシナイデ

　帰りにもかかわらず途中の移動が車だったため、その空港を使うのは初めてで道順がわかりません。それでも表面だけはにこやかに答えながらも、タクシーが空港に向かってるかを道路標示を頼りに必死で確認しました。最悪、車から飛び出す覚悟もしました。

　そんな中、会話が進むにつれ本当かどうかはわかりませんけど白人２人はカナダに住んでいるアイルランド人で、カナダに帰る途中なんだとのこと。中東系の運転手とは知り合いではないように見えます。

エンギデスカ？
エンギデスカ？
エンギデスカ？

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　とまぁ随分怖い思いをしたんですがお話はここまで。実は２人はU2のコンサートを見に来たんだということが分かりました。カナダから前日にやってきてコンサートを見て、そのままアイリッシュパブで徹夜で飲んで朝の飛行機に乗る、というスケジュールだったそうです。

　車は無事空港に着きまして、白人２人とは一期一会の熱い握手を交わしてメデタシ、メデタシ・・・の前に最後に問題が一つ。それはタクシー代＆領収書。